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ニットってなぁに?

ニットってなあに?

まず、英和辞典で調べてみました。

KNIT(ニット)=「結び目という意味のKNOT(ノット)から発生した言葉で、編むことを指します」

本来の使い方は、動詞だってことがわかりました。

そこで百科事典を使い「編み物」の項を調べてみると

あみもの (編み物)

「1本あるいは2本以上の細長い材料を用いて編み上げる手工。かご、むしろ、網、組みひも、布地などの種類があり、編む技術は人類のもつさまざまな技術の中では、もっとも早く発明されたものである。」(世界大百科事典【平凡社】)

つまり、素材は問わないんですね。

とは言っても、着るのに適した素材・編み方はあります。

一般的にニットと言われる服は、毛の糸を使って横に横に糸を渡しながら、編み上げたもの言います。

「じゃあ、普通の生地とはどう違うの?」

普通『生地』と言われているものは、織り上げた布のことを言います。

糸を縦糸と横糸にわけ、交差させながら織り上げていくものです。交差のさせ方によって、生地の表情が変わります。

糸はひっぱっても普通は伸びませんから、生地も縦や横にひっぱっても伸びません。

ただし、斜めにひっぱった時だけ伸びます。

生地

ニットは、縦・横・ななめ どの方向に引いても伸びます。これがニットは良く伸びるといわれるゆえんです。

他にニットの特徴は

・1本の糸から編める

・するとふちからほどけることはない

・途中1本でも切れるとそこから伝線しやすい

・素材はなんでもOKだが、毛(ウール)がポピュラー

・編むことで地が厚くなるので、保温性が高まる

ニットの編み方にも種類があります。

手法としては、棒編み、カギ編み、機械編みにわかれます。手編みといわれるものは、棒編みとカギ編みのことをさします。それぞれの手法によって出来上がりの編み目も変わります。

棒編

では、まずは棒編みから説明します。
基本的なものをメリヤス編みといい、表と裏の編み目が違います。
棒編みをしたことがある方には、おなじみの編み方ですよね。基本的な編み方になります。

  • メリヤス編み 表
    メリヤス編み表
  • メリヤス編み 裏
    メリヤス編み裏

 

■ゴム編み(セーターの袖口などに良く使われます)

棒編み他にゴムのように良く伸び縮みするのでゴム編みとよばれます。表も裏も同じに見えます。

これらの特徴を生かして、マフラーや折り返すタイプの襟などに、良く使われます。

ゴム編み
ゴム編み

 

■模様編みの一例(セーターの柄などに使われます)

模様の種類は数え切れないぐらい多いです。ポピュラーなものではなわ編み、アラン模様、イギリスゴム編み、と言ったところでしょうか。なわ編みはみつ編みのように見える編み方です。アラン模様とはアイルランドのアラン地方の、漁師さんの奥さんの間で受け継がれてきた編み方です。

ニットは面白いことに世界中で作られてきました。そんな中、模様編みはそれぞれの地方の文化と結びついて出来上がっていった手法ということになります。それぞれの専門書もあるほど、複雑です。

ニット好きの私としては、文化と結びつきつつも、新しい文化も作り出すことのできるニットという手法は奥が深いなあ。と感慨深い気持ちになります。

カギ編み

次はカギ編みについて簡単に説明します。

棒編みとはまず、道具が違います。

鍵棒

このように、先がカギのようになっている道具をつかうので、カギ編みです。

レース編みはこのカギ編みで編まれています。

カギ編みの特徴として表と裏の違いがわかりにくい(ほとんど同じ)ので、マフラー、ストールによく使われます。他に棒編みのニットや、織り生地のふち飾りに使うこともあります。

また、編みながら形を立体的に作り上げていくことができるので、コサージュなどの、小物にも良く使われます。

レース編み

機械編み

機械編みは、その名の通り機械で編んだものです。編み目の種類は棒編みとほとんど同じことができるようです。手編みと大きく違うところは、細かい編み目が作れることです。Tシャツや、トレーナーの生地も機械編みで編まれています。機械編みでごく細かい編み目を作ることで、生地のような薄い質感と、ニットの伸縮性をという両方の長所を取り入れたものになっています。

ところで『カットソー』という言葉、ご存じだと思います。

洋服売り場で、聞くことが多いと思います。

もともと全てのニットは手編みでした。セーターのような服に仕立てるときには、前身頃、後身頃、右袖、左袖のように、パーツごとに編み上げ、針を使って綴じ合わせて服にしていました。

しかし時代は変わり、大量生産が求められるようになります。そこで、カットソーが考えられました。ニットを一枚の生地のように薄く大きく編んで、身頃や袖などのパーツを型紙に沿ってカットします。そして、ミシンで縫い合わせて服にします。CUT&SEWで作られるので、『カットソー』です。
それが転じて、極薄編のニットで縫って作られた上着を指すようにもなりました。

これも十分革命だと思うのですが、近年、もっとすごい技術が開発されました。

服のような立体的なものを作りたい場合、平面で編んだパーツを縫い合わせて最終的に立体的な形にするしかありませんでした。カットソーでなくても、パーツごとに糸を切らなくてはいけませんでした。しかし、そんなことせずに服の全ての部分が1本の糸で繋がった編み方が開発されました。

『ホールガーメント』という無縫製ニットです。

しかも、驚くことに日本の企業です。和歌山市のシマセイキさんです。

シマセイキ

日本の技術って本当に凄いんですね。

編目記号

もうひとつ、ニットに関する日本の凄いところがあります。

それは編目記号です。

編目記号
(棒編みでつくるエコたわしの編み図)

この編目記号は日本工業規格…JAPANESE INDUSTRIAL STANDAD…できまっています。棒編みは22種・かぎ編みは13種です。

日本の規格なので、もちろん外国では通用しません。

じゃあ、外国ではどうするの? と調べてみると、

Rnd 1: With white ch 6, join with sl st to first ch to form ring. Ch 5, (dc in ring, ch 2) 7 times, join with sl st in 3rd ch of beg (beginning) ch 5

この文章になります。

ニットは世界中で自然発生しながら今日まで発展してきました。その土地独自の文化として発展し、編み方が作られてきました。母から子、地方の女性が集まっては教えあう、口承文化ですから、編み図というのはもともとありません。

現在の欧米では、編み方を伝えるのに文章をつかうようになりました。それがさっきの文章です。(アメリカかイギリスの方の説明のようです。コースターで、1段目の編目になります)

どうも日本の規格のように系統だったものはないんです。

しかも、文章だけと違い、図を見ると全体の仕上がりの形が見えてきます。

四角いものは、四角く、丸いものは丸く書くことになりますから、作る前にイメージがつくりやすいです。

日本人独自の感覚だと思います。しかも素晴らしく良くできているこの規格。

日本は海外に比べて手編み人口が多いそうです。それはこの凄く良くできた規格のおかげかもしれません。

ながながと説明してきました「ニットってなあに?」。できるだけ日常の生活や、普段思いつきやすい疑問に沿ってまとめたつもりです。少しでもニットについてご理解いただければ幸いです。