生物園から預かった羊毛を草木染しました
【このコラムは連載です】その1はコチラ「生物園から預かった羊の毛を洗う」
カードした羊毛がアナンダ山梨店さんから戻ってきました。1・89キロ → 1・83キロ になりました。思ったより減らなくて良かった! 中身はふわっふわです! 店員さんにも綺麗に洗ってあると褒めてもらいました。苦労したかいがありました。ほっとします。
送る時は70リットルのごみ袋に入れましたが、帰ってくるときは30リットルでした。アナンダの店員さんに(ふっ、羊毛は押せばここまで小さいくなるのよ…)と言われた気がします。はい、妄想です。
草木染めをもう一度ちゃんと覚え直したいと思い今年はアナンダ吉祥寺店に講習に行きました。アナンダはおしゃれでなく、生きる力として衣類の原材料を販売している素敵なお店です。
今はコロナ対策で講習の時間が2時間に限られています。その中でできるだけ教えてもらってきました。まとめておいた質問をしてメモ、質問してメモの繰り返しです。
今回は染料を4パターン買いました。暖色系のみです。草木染で寒色系を染めるのは体力がいるので、今回は諦めました。
染めている所です。30分煮出して濾した後、もう一度煮出します。2回目は20分位。一番煎じと二番煎じを混ぜてたっぷりの染料をつくりました。
染料は「インドヤコウボクの花芯」です。
染め方を簡単に解説します。
●羊毛を焙煎
●染料を煮出す
●染色
●染めた物を酢でリンス
●すすぎ
●干す
焙煎は染料が染まるようにする工程です。ミョウバンで羊毛の6%の濃度で煮ました。
今回は30分です。発色を確認したかったので、3つとも統一しました。自宅では鍋の大きさに限界があるので一番煎じで染めました。
コチニールだけ、二番煎じを作り一番煎じとは混ぜずに染めてみました。
アラビアゴムモドキの時はうっかり、染料を1回使っただけで捨ててしまったのですが、1度染めても染料に色は残ってるので色がなくなるまで2回3回と染めてみました。
染めている所です。
染めた後は酢でリンスします。そしてぬるま湯ですすぎをして色が出なくなるまですすぎます。どれも1回か2回ですすぎ終わりました。後は窓辺で干して出来上がりです。
染まった羊毛と染料を一緒に写真を撮ってみました。
左から
●インドヤコウボク 一番煎じ+二番煎じ(アナンダにて)
●アラビアゴムモドキ皮 30分煮出して 一番煎じで30分煮て染める
右
●インド茜 30分煮出して 一番煎じで30分煮て染める 2回目30分煮て染める 3回目30分煮て染める
●コチニール 30分煮出して 一番煎じで30分煮て染める 2回目30分煮て染める 3回目30分煮て染める
●コチニール二番煎じ 30分煮出して 二番煎じで30分煮て染める 2回目30分煮て染める
淡い色合いのワタを見ていると、十二単を思い出しました。
1000年前の日本と染料は違っても手法はほぼ同じです。草木染めは色のコントロールが難しいのでできた色を合わせて布や柄を作っていたはずです。思いがけず綺麗な色が出ることもあれば、上手くいかなかったこともあるでしょう。
その中から美術品を作ってきた人たちは、どんな気持ちだったのか? 少しの時間、思いを馳せていました。
普段着ている着物の染料は、普段見ている山の木や草だったはずです。すると今年の紅、去年の紅の色とかあったのかもしれません。その色を合わせておしゃれする事は常に自然を意識する行為だったはず。そんな気持ちをちょっとだけ考えました。