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簡易包装にこだわる訳

ニットキュアで簡易包装にこだわりたいと思ったのは、自分が消費者として買い物をしていて、過剰な包装に困ったことがあったからです。
20代の頃は、包装紙に胸がトキメキました。包装紙を開けることや、タグを取る事が快感でした。自分の稼いだお金で、自分の欲しいものを買えている。そんな実感があったからです。

ところが年を重ねるうちに変わってきました。だんだん面倒になってきました。ゴミの分別が細かくなってきた事で、それに拍車をかけました。
ゴミを捨てることが手間に感じられるようになってきました。

そんな中、お土産屋さんで買った羊羹の包装の多さに辟易しました。
その時は同じものを2つ買いました。友人のプレゼント用と自分用でした。家で開けてみると、包み紙、リボン、包み紙。開けて羊羹がでてくるまで、じれったかです。そして、やっと出てきた羊羹は最初のサイズの半分ぐらいでした。
その時思ったのは

「プレゼントする分にはいいけれど、自宅で食べる分にはちょっと損した気分。しかもこの包装紙代金、商品の料金に入っているんでしょ。だったら自宅で食べる分はもっと簡単な包装で安くしてくれればいいのに。
ゴミの分別にも手間がかかる。私はお金を払って、不用品と手間を買ったのか?」

上野で買った、美容パックもそうでした。観光客向けだったようで、専用のパンフレットがついて専用の袋まで付いてきました。

私は起業の準備を始めている時だったので、この包装紙がいくら位なのか、売値の何割ぐらいなのかっていうのが大体計算できました。もちろんその商品は目新しいデザインで、その値段を払っても欲しいと思うものではあったけれども、商品以外のところにこれだけお金がかかってしまっているっていうガッカリ感もありました。

ニットキュアを始める11年前の経済番組では
「付加価値をつけましょう」という話がよく出てきました。

既存のものにプラスαをしてちょっと特別感を出して少し高値で売れるようにしましょう。

売る側は確かにそれで売上金額は上がる。けれど売り手の手元に残るモノはどれだけなんだろう?
つまり売るために経費というコストをかけて、売るための販売のコストをかけて、どれだけの利益が売り手に残ったのだろう?

そこに、何か違和感があった。

消費者としては、自宅用とプレゼント用と選べる仕様になっていればいい。昔ながらの菓子屋さんなんかは選べるようになっています。
私はそっちの商売の仕方の方がよかった。
けれど、11年前ニットキュアを始めた頃の経済はそんな風ではなかった、ちょっと足して、ちょっと高めにもらいましょうが主流でした。
過剰包装をしないということは、サービスが悪い店と受け取られるかもしれないと心配しました。
出すのは簡単。綺麗なダンボールや配送袋を用意して綺麗なチラシを何枚か入れればいいんです。
でも私は消費者としての立場を考えた時、ゴミになるしかないものにわざわざコストをかけるのは納得が出来ませんでした。必要なものを必要なだけ届けたかったから。
売り手としても、消費者としても、納得のいく方法を探りました。

もちろんコスト削減の意味もありました。
だから私は簡易包装にこだわる店としてスタートしました。できれば私の気持ちに賛同してくれる方がお客様になってほしいという気持ちでした。心配しながら少しずつ始めてみると、お直し屋ということもあって賛同してくれるお客様が結構いらっしゃいました。というか、ほとんどでした。
嬉しかったのは、指示書に裏紙使ってくれる方もいる事でした。合理性を重んじる方が多いように感じました。当店に届く箱や袋も再利用がほとんどです。
下げたコストはそのまま料金に還元できます。今となれば思い切って包装にこだわらない店で始めて良かったと思っています。
おかげで店にとってWIN、お客様にとってWINな。取引ができるようになりました。

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