やっぱり手に職ですかね? (1/3)
「やっぱり手に職ですね!」良く言われる言葉です。
実は言われるたびに違和感があります。そのモヤモヤを文章にまとめていくつかに分けて書いていきます。
私がニット服の修理を始めた理由は、お直しの技術があるからではありません。
それはあくまできっかけで、もう少し別の理由があります。
又この言葉には、手に職があるから会社が経営できて、家庭も守れているというニュアンスが入っているように思います。それにも、どうしても違和感があります。
そういってくださる方は私の暮らしぶりをみて、生活力があるのは「手に職がある」からだと思っているかもしれません。
でも大事なのはバランスの問題だと思っています。
技術・社会・生活・家庭・好きな事・特性 これらのバランスが取れているからニット服の修理で会社を運営して、生活ができて、家庭が守れています。
私がどうやってバランスをとってきたかを書きます。
かなり長いので3回にわけてお伝えします。
【1】「好きなことを職業にした理由」
好きなことなら頑張り続けられると思ったからです。
若いころ沢山の仕事を経験しました。それは色んな会社を見てみたいし、色々な職業を覗いて見たかったからです。学歴やこれといった経験もないから、短期のバイトを繰り返していたともいえますが。とりあえずの社会勉強のつもりでした。
確かにいい勉強になりました。そのうちに気づいた事がありました。
「働いていても、ずっと勉強は続く」
どんな仕事でも職種でも、時代とともに道具が変化して学び直さなくてはいけない。
先輩や上司たちが「昔はこうだった。ああだった」という話を良くします。つまりそれだけ変化があって、今の働いている人たちはその変化についてこられた人なんだ、そう思ったんです。子どもの頃は役職が上がるほど、楽していそうに見えました。実際の会社では役職が上になるほど、新しいことを学びなおしていました。
これは困った。私は勉強が嫌いだったからです。学校では本当にほんとうに、勉強をしてきませんでした。けれど学ぶことは好きでした。好きなことなら頑張って学べました。
そして何かを達成するには1万時間が必要という話を知りました。
私は20代半ばになっていました。そろそろ職業を真剣に考えなくてはいけないと思いました。40代の今からすると、20代半ばなんてまだあせる必要もないと思うんですけどねー。
あの頃は真剣に考えていました。
それまでは、仕事を選ぶときは「面白そう」で決めていたのですが変える事にしました。自分が好きで得意を生かせる分野を選ぶことにしました。
そしてできるだけ長く続けようと思いました。長く続くことが価値になるパターンを見ていたからです。長く続けられると技術や経験になります。しかしその技術に固執して変化に対応できずに失職する人も見てきました。
私は飽きっぽい性格だから変化は楽しめるだろう。けれど変化の続く業界は合わない。疲れてしまう。だからあえて、長く続けられるコンテンツを探そう!
こうして、長く続けられて、かつ、変化にも対応できる働きかたを模索し始めました。
変化に対応するのは元々できています。短期バイトで食いつなげるぐらいですから。
その時の自分にはない「長く働く」を可能にするのに、自分の「好き」や「興味」を利用しようとしました。時間をかけて探して見つけたのが偶然「ニット服の修理」のバイトでした。やってみたら大当たり!
ニットの編み目を直す作業はパズルを解くような面白さがありました。工程の組み合わせでは最短の組み合わせを考えて利益を出します。それが面白かったです。
面倒な人間関係や経営方針に振り回されることもありましたが、仕事の内容に興味があるので乗り越える原動力になりました。
誤算もありました。修理の仕事は毎回洋服が違います。これが流れ作業になりにくく、面倒な所でもあるのですが、飽きっぽい私には逆に楽しめました。
そうしているうちに3年が過ぎて、一通りの業務が分かるようになりました。
こうして私は好きな事を仕事にして、職業になっていきました。